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創業140年の満月堂。日本に西洋の文化が流れ込んできた頃、私たちは和菓子屋を始めました

神戸の市街地から、ほんの少し北へ車を走らせること30分。緑溢れる長閑な景色が広がってきます。淡河町は、かつて京と大阪をつなぐ宿場として栄えていました。明治15年に創業した[満月堂]は湯治客の間で評判となり、今日まで代々とその味を引き継いできたのです。

歴史ある銘菓ながら誰もがなつかしさを感じる。優しいふるさと・淡河の味

車もなかったような時代に諸国を旅し、浄瑠璃を語れば花も生けるといった風流人であった初代・豊助。その名を取った田舎まんじゅう『豊助饅頭』を買いに、人口約3,200人の淡河町に、毎日200~300人ものお客様が訪れます。極薄皮にたっぷりのこしあんが入った『豊助饅頭』(1つ65円)は、甘さ控えめのとろけるような舌触りで、ついつい2つ3つと手が伸びる美味しさ。提供する和菓子は、毎日店頭に作りたてが並べられるのだそう。「饅頭は柔らかなくちどけの状態が、いちばん美味しいと思うんです。作ってから時間が経つにつれて生地が徐々に固くなっていくので、なるべく出来立てを持って帰ってもらえるように、その日の状況に応じて随時作っているんです」と、話してくれた取締役の吉村さん。看板商品である豊助饅頭は、多い日だと朝・昼・夕方の3回に分けて作られているとのこと。「保存料は使わず、作り置きをしないようにしているので、たまに夕方に団体さんが来られると品切れになっちゃうときもあって。それでもやっぱり出来立ての美味しさを味わってほしいので、このスタイルで続けさせていただいてます」。

気さくで笑顔が素敵な取締役の吉村さん。商品への愛情やこだわり、淡河町全体の盛り上がりについての思いを語ってくれた

地産地消にこだわり丁寧に作られた和菓子は、地域のみんなに愛されてきました

淡河町は花、野菜、米などの生産が盛んに行われている農村地域。近年は農業を始められる若い人も増えたことで、様々な特産品が増えています。同店でも淡河のイチゴを使った大福や、栗を使ったおはぎ、黒枝豆で作ったずんだ団子など、旬の果物を使用した季節の商品が大人気。通年で味わえる団子には淡河の米を使用しており、とことん地域食材にこだわっています。「2003年に、当店からすぐ近くの場所に[道の駅 淡河]がオープンしました。それまで地域で採れた食材はすべて市場へ行っていたのですが、誰もが気軽に買えるようになり、農家さんと消費者の距離がぐっと近くなったんです。それをきっかけに、淡河町がまた活性化してきたように思います。食も自然も豊かな淡河町の魅力を、もっとたくさんの人に知ってほしいですね」と、吉村さんは笑顔で話してくれました。そんなあたたかな人の手で作られるからこそ、素朴でありながらも忘れられない美味しさに辿り着くのだと感じました。淡河で生まれ育った人は子どもの頃から慣れ親しんできた味であり、これが基準になるというのだから、和菓子に対して舌が肥えて当然。みんなが足繫く通うのにも頷けます。

徒歩3分の場所にある[淡河宿本陣跡]では、同店で購入したお菓子の持ち込みが可能。自然豊かなロケーションを背に、甘味で癒されよう

満月堂

神戸市北区淡河町淡河754-1
TEL:078-959-0310
WEB: https://mangetsudou.jp/
営業時間:8:00~18:30
定休日:水曜日

※最新情報は直接店舗へお問い合わせください

Access
六甲北有料道路 有野料金所から車で約15分

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