淡河町の一角に、50年以上もの間空き家になっていた建物がありました。実は江戸時代から残る建物で、瓦葺きの大屋敷やお殿様が使用していたという茶室も現存。この貴重な建造物を守るべく地域のメンバーが立ち上がり、一般財団法人淡河宿本陣跡保存会を発足。人々の手により再建され、地域のコミュニティスペース&人気の観光スポットとして生まれ変わりました。
江戸から令和へ。数百年の時をつないだ、淡河の人々の想いとは
その昔、有馬に通ずる湯山街道として栄えた淡河町。ここ[淡河宿本陣跡]は、参勤交代の大名が利用したと言われる由緒正しい建物です。淡河宿本陣跡保存会のメンバーである武野さんは、地元淡河の出身。「私たちが子どもの頃からある建物で、当時はいわゆる秘密基地的な感じで出入りしてたんです。歴史的価値があると分かったのは大人になってからでしたが、思い出の場所がこのまま朽ちていくのはとても寂しいと思いました。そこでこの場所を再び作り直して、地域の子どもたちから、おじいちゃんおばあちゃんまで、誰もが拠り所にできる場所にしようと、保存会を立ち上げたんです」。まずは生い茂った雑草を刈るところから始まり、水道や電気を通し、壊れかけた柱や床、天井を直し、障子を張り替え…。それらすべてを業者に委託することなく、保存会のメンバーを筆頭に、地域の人たちの手で行ったのだそう。そんな背景があるからこそ、淡河の観光地の一つとして再建した今でも、地域の人たちが日常的に通う憩いの場として愛されているのでしょう。
カフェやワークショップも楽しめる場所で、昔の暮らしや文化に触れてみて
映画『るろうに剣心』のロケ地としても使用された[淡河宿本陣跡]。「この廊下を佐藤健さんが歩いて、この障子の横に高橋一生さんが立ってらしたんですよ」と、映画ファンには堪らないこぼれ話も聞くことができます。実際にその廊下を歩いてみると、キュッキュッと床から軋む音が聞こえてきました。これは空調設備などがなかった当時、木に湿気を含ませるために、あえて板同士に隙間をつくって敷き詰めている工法なんだとか。その軋む音がまるで鳥の鳴き声に聞こえるということで、「うぐいす張り」と呼ばれていたのだそう。“江戸時代風”ではなく、本物だからこその体験であり、当時生きていた人々の生活や文化を、建物を通して感じることができます。また見学のほかに食事&カフェ利用ができるほか、不定期でいけばな体験などのワークショップも実施されています。カフェ[本陣 なな福]の『蒸し鯖寿司定食(税込1,650円)』は、午前中で売り切れてしまうほどの人気商品なので、食べてみたい方はぜひご予約を。目まぐるしい時間の流れを忘れに、ぜひ訪れてみてください。
淡河宿本陣跡
〒651-1603 神戸市北区淡河町淡河792-1
TEL:078-219-3460
WEB: https://www.ogo-honjin.com
営業時間:11:00〜16:00 (ランチL.O.14:00/ドリンク L.O.15:00)
定休日:月曜日、火曜日
※最新情報は直接店舗へお問い合わせください
Access
六甲北有料道路 有野料金所から車で約15分